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ハスパタシュートは、棒に見えた。
金色の地に、赤や橙で描かれた火炎や龍。
それが1メートルほどの棒・・・いや、投槍に見えた。
「ひゃっほう!」
奇声をあげて、ヴェータラに突進するシヴァ。
ヴェータラもなかなかのもの、それをすばやく避ける。
するとシヴァは方向転換をして、ヴェータラに突進する。
二十秒ほどそれが繰り返される。ふと、おかしなことに気付く。
「投槍が・・・無い?」
そう、シヴァは投槍を持っていない。槍で攻撃ではなく、タックルを仕掛けているのだ。
「牛角の陣!」
シヴァは両拳を腰に軽く当て、腕を平行に並べる。
その刹那、シヴァの背中から赤い光が差す。
すると、シヴァは赤い弾丸となって、ヴェータラに向かって発砲した。
赤く燃えた両腕をヴェータラの顔に当て、そのまま押しやる。
ざくり。
ロケットのように持ち手が炎のように変化した、件のハスパタシュートがヴェータラの心臓を刺し貫いた。
そのままシヴァの手に、それが収まる。
「爆ぜろ、餓鬼が。」
その一言とともに、ヴェータラは爆発をおこした。
「創」
頭の中でグルグルとその一文字が跳ね回る。
「普通にいたよ」
ヴィシュヌの言葉を再び思い出した。
なんとなく、本当になんとなくだけど、こう感じた。
「俺の知らない何かを、二人は知ってる。」
ポケットに手を突っ込んで、ゴッズクレイを軽く握り締めた。
「グフ!」
帰り道、シヴァに背中をどつかれて、情けない声を上げる。
「なに辛気臭ぇ顔してんだよ!」
「ごめん、創!」
ヴィシュヌが後からやってくる。
「いや、いい。それよりヴィシュ・・・グホ!」
今度はヴィシュヌにどつかれた。
小声でヴィシュヌがまた話し出す。
「ここでは衛って呼んで。変に思われる。」
立ち上がって、俺はまた話し出した。
「ヴィシュヌ。お前の親は死んだのか?失踪したのか?」
「・・・どうしたの、急に?」
ヴィシュヌの目つきが険しくなる。
「お前は、他の神様に名前をつけてもらったといったよな。
だから、維持神で衛、破壊神で武器の弓を名前に入れた弓子。
そして創造神の創。俺だけが偶然なら、出来すぎだ。
俺の親が俺の名前をつけたのであれば、俺の親は何かを知ってるんじゃあないか?
まえに、お前が言ったよな。親はいたって。いた?つまり今はいないってことか?だからヴィマナで生活してるんだろ。シヴァもヴィマナで生活をしてるんだろ?」
こくり、とシヴァがうなずく。
「つまりシヴァも親がいないんだな?
奇妙な名前の一致や親がいない、という事を踏まえて考えると、これは俺の親にも当てはまるのか?」
誰も答えない。
「なぁ、答えろよ!答えろ!」
真っ先に口を開いたのは、ヴィシュヌだった。
「創、君はギリシャ神話のパンドラの箱を知ってる?」
「生憎、おれは神話に興味は無い。」
ヴィシュヌは話し始める。
「神様から開けてはならないと言われた箱を神様に渡されたパンドラという女性は、気になって開けてしまうんだ。すると中からは絶望や病といった人を不幸にするものが飛び出していった。それを、箱の中にはもう戻せない。君は真実という名のパンドラの箱を開けるかい?飛び出した悲しみはもう戻せないよ?」
そういうと、ヴィシュヌは歩き出した。
「じゃあな。箱は開けるなよ。」
そういって、シヴァは歩き出した。
帰り道に俺は取り残された。
冷たいコンクリートのビルが、俺を見下していた。
「いつかは強くなる・・・」
頭の中にヴィシュヌの言葉が響く。
昨日の戦いが嘘か、日常茶飯事のどっちかと間違うほど世界は何事もなく回り続けている。
警察は件の連続殺人犯人をまだ血眼になって捜しているけど、犯人が見つかることは無い。
教室の窓から空をちらりと見ると、晴れ渡った青空が広がっていた。
「おい富良野、富良野!」
はっと気がつくと、目の前にカマキリそっくりの間城先生が眼鏡の奥の目を細めていた。
「今話聞いてたか?」
「・・・いいえ」
「はいじゃあスクワット30回 はい、いーち」
「いーち」
・・・しまった。間城先生は、虫を食らうカマキリのように生徒に対して容赦が無い。
あぁ、面倒くさい・・・
「えぇ!?間城先生の話聞いてなかったの!?」
「・・・うん」
「転入したての僕だって、あの人の話は聞かないとやばいって分かるのに・・・」
「いや、考え事しててさ・・・」
「ふ~ん。ところでさ、ブラフマーの名前ってなに?」
「へ?どういうこと?」
「今までは何て名乗ってたか、ってこと。」
「あぁ。富良野 創だよ。ヴィシュヌは何なの?」
「そういや違うクラスだし」言ってなかったね。僕は、日比野 衛」
「衛に弓子か。それぞれの性格に嫌にマッチしてるな。」
「友達につけてもらったの。」
「友達?」
「うん。他中生だけど。その人も神様だよ。」
「まだ神様いんのかよ。なんて神様?」
「粟国勇也っていう神様。まぁ、あってからのお楽しみだね。」
キーンコーン、カンコーン
「あ、やば。またあとでね~」
「おぉう」
ポケットの粘土をこねながら俺は席に着いた。