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「目撃者の供述によりますと、色黒で外国人風で裸、体中をペイントしていて、部分的に極端に肥大化しており、腹部は特に醜い太鼓腹だった、と述べています。ネットではこの連続殺人の犯人の特徴から、宇宙人だ、等の意見が飛び交っております。警視庁はこれらの特徴の一部から、在日外国人の可能性が高い、という事を現在割り出しております。」
ヴィマナのホールで、ナン(インドのパン)とカレーを食べながらニュースを見ていた。
「これがベータラだね。」
「日本に来たばかりだな。土地勘がまったく無い。墓地に行けないから、ダイレクトに死体調達してやがる。」
ナンを飲んでから喋りだす。
「シヴァ洞察力凄いな。」
「伊達に神じゃねぇんだよ。破壊神でも、これくらいは普通だ。」
「ねぇ二人とも、気付いた?」
二人同時に同じ事を言う。
「何を?」
「じゃあ僕の勝ち!犯行時間に規則性があったの。1回目と2回目の間隔はXとすると、2回目と3回目の間隔はX-1、3回目と4回目はX-2、4回目と5回目はX-4、という規則が出てるの。犯行場所も、普通に見るとランダムだけど、とある場所を中心にすると、綺麗に円が描ける。半径も、毎回100mずつ伸びてる。場所は毎回濱図団地付近。これで、犯行時刻、犯行場所が割り出せる。そこに向かうよ!」
そういえば、戦い方を見せると言ってたな。どんなのだろう。
低空飛行しているヴィマナを降りて、俺らはそこに向かってダッシュした。割り出した犯行時間は今から約15分後。ここからだったら走って間に合わない時間ではない。
8分後、着いた。そこにいたのは、目は虚ろに開き、口をだらりとあけたベータラだった。
「ここは僕が行く。シヴァ、悪いけどちょっと待って。」
「チッ、分かったよ!あたしが殺りたかったのに・・・」
ヴィシュヌは空中に手を伸ばすと、手の中に槍を出した。
「残念だったね、ベータラ。僕の殺し方は、一番苦痛をともなうからさ。」
そう言ってヴィシュヌは笑った。
例の粘土を渡された。
オレンジ色で、むにむにしてる。
授業中、ひたすらポッケの中の粘土を練っていた。エネルギーの塊だというが、どうにも嘘臭い。
シヴァは隣で勉強してた。と思ったら、ノートに書いていたのは落書きだった。
国語の嶺稲先生は、通称「催眠術先生」。恐ろしく眠くなる授業をすることで有名だ。
昨日は、普通の時間帯に帰った。ヴィシュヌ曰く、
「神々にしか見えないんだよ。」
とヴィマナの説明をしていた。
学校が終わって、ヴィシュヌとシヴァの家を見てみたいと提案した。神様は、どういう生活をしているんだろう。
この事を話すと、
「僕らの家はヴィマナ。アシュビンっていう、パイロットに面倒見てもらってるの。」
と言われた。親はどうしているんだろう。これも訊いてみた。
「普通にいたよ。」
と返された。どうもひっかかる。いたよ?じゃあ今はいないのか?
これは何かやばそうなので、訊くのはよしといた。
学校の隅で、新しい情報をヴィシュヌに教えてもらった。シヴァは基本何も喋らない。
「またベータラがこの付近に来たらしい。君じゃちょっと早いかな。」
「なぁ、お前維持神だろ?槍とか使えるの?結界とかはる位しか考えられねぇんだけど。」
「もち。結界張る事しか出来ないよ。」
「おいおい、それでいけんの?」
「まぁいたら呼んでね。見せてあげるよ。僕の戦いを。」
そういって、ヴィシュヌは不適に笑った。
ヴィマナの中は冷房が効いていて涼しい。
「さて、まず僕らがなぜこの学校に来たのかを言おうか。」
ヴィシュヌが喋りだす。
「最近、ベータラが海を渡りこちらにやってきた。下界に降りた君は、何かの手違いで神の記憶が飛んだらしい。そこでベータラたちは、そこに目を付けた。そして、君を狙いに来た。僕らは、君を探し出し、そして君が何であるかを教え、そして共に戦う為に来た。」
「戦うって何と?」
「ベータラ、及び悪魔、怪物、夜叉等。戦う為に、それ相応の武器が必要だ。シヴァの武器は、火炎の投槍パスパタシュート、僕は蓮華槍という蓮を模した槍。君はゴッズクレイという粘土。」
ね、粘土ぉ?そんなのでどうやって戦えと・・・。
「粘土でどういう風に戦うわけ?自分で武器でも作りゃいいの?」
「大正解。」
・・・馬鹿にしたつもりなのだが。
「君のゴッズクレイはエネルギーが粘土化したもの。エネルギーとしても使えるし、何より武器を創れる。創造神にぴったりだ。凝縮すれば硬くなり、体積は小さくなる。もっとも、君のエネルギーがそのまま武器に現れるから、君の力が大きいほど体積は増える。」
バトル漫画でいろんな武器を見たことがあるが、いままで見た中でこれが一番使いにくそうだった。
闇夜に目が光る。
準備は出来た。さぁ、我がアスラよ、進みだせ。血塗られた道を。
真後ろから掴まれた俺は、校舎の物陰に倒れた。
「大丈夫?」
小さく、囁くように気の弱そうな男の声が聞こえた。
「うるせーな、今は黙っとけ!お喋りはあとだ!」
今度は、気の強そうな女の声が聞こえた。気の強そうだが、男の声と同じく、声を小さくしてる。
「あのやろー、ブラフが自分の事を神だって知らないからって不意打ち狙ってきやがった。汚い奴らだ」
神?ブラフ?何のことかさっぱり分からない。
「あの~」
「うるせぇ!」
「ちょっとシヴァ、そんな荒いしゃべり方はよしたほうがいいって・・・」
「あぁ!?文句あんのか?」
「すみません」
・・・なにがなんだか。
シヴァと呼ばれた娘は何処にあったのか、金色の棒を取り出した。
「ヴィシュ!しっかり結界はっとけよ!」
「分かった!」
「ウォリャー!」
金色の棒を持って、駆け出すシヴァ。
「ゴメンね、倒したりして。」
ヴィシュと呼ばれた人が、謝る。
「僕はヴィシュヌ、彼女はシヴァ。維持神と破壊神なんだ。」
「はぁ・・・」
俺の頭の中で、何が起こっているんだろう。きっと、俺は病気だ。
「君はブラフマー、創造神。あのお腹の大きな裸の奴はベータラっていう餓鬼で、まわりのゾンビは正真正銘の死体。」
混乱して、何がなんだか分からなくなってきた。
ときおり、バコ!とかバキ!とか、ガン!とか鈍い音が聞こえる。
ヴィシュヌは、話続ける。
「君は、僕らと一緒に世界を救いに下界に降りたんだ。」
ファンタジー漫画みたいなことを言われ、もうなんとリアクションすればいいのか分からない。
そして、意識が遠のいていく・・・