幼いときから想像力が強く、雲を見るたびにあれはなんだろうと思いを馳せていた。
粘土やブロックといったものが得意で、小学校の図工の時間の粘土の単元になるたびに周りに人だかりが出来たのを覚えている。
粘土に関しては賞も取ったくらいだ。俺の部屋には、俺、富良野創の賞状が飾ってある。
そんな子供時代だった。
「やばいな・・・」
思わず声を漏らす。腕時計の針は10:15分を指している。
校門の前で思わず立ち止まる。なんて不気味なんだ・・・
学校に教科書を忘れ、塾の帰り道を走った。塾が終わって気づいた、忘れ物。
「バン!」大きな音を立てて、校門の向こう側にバッグが落ちる。
少し低めの校門を登れば、鍵の壊れた裏口から入ればいい。
走って運動場を通り過ぎようとして、思わず立ち止まる。
なんだあれは・・・。
サッカーのゴールの前をふらふらとした足取りで歩く、誰か。
体のいたるところに彫られたタトゥー。
首に巻いた金色の紐。
異様に大きな腹。それと対照的な、長く、ガリガリにやせ細った手足。
そいつは、裸だった。しかし、一番目を引いたのは、これらのどれでもなかった。
こいつを囲む奴ら。そいつらは、手が白骨化していたり、顔の半分の皮膚が破れていたり、中には脳みそが飛び出ているものまでいる。
そいつらを見て頭の中に思い浮かんだのは、ホラー映画で見たゾンビ。
そいつらは、ゾンビそのものだった。
足がすくむ。手が震える。
俺はそいつらに意識を集中させすぎて、真後ろから来る手に気付かなかった。
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